上場企業の総務部門で約20年、毎年のように社員の「年末調整」の処理を行っていると、手取り額を賢く守っている人と、無防備に税金を持っていかれている人の差が残酷なほど明確に数字として表れます。
その差を生み出す最大の要因の一つが、iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用です。投資信託の運用益が非課税になるNISAばかりが注目されがちですが、40代半ばからの資産設計において、真の意味で「最強の守り」となるのはiDeCoが持つ圧倒的な節税(所得控除)効果です。
所得税・住民税の軽減効果。確実に得られる「ノーリスクのリターン」
iDeCoの最大の強みは、運用益の非課税ではなく「掛金が全額所得控除になる」という点にあります。投資の世界において「絶対儲かる」という言葉は詐欺ですが、iDeCoの節税効果だけは、制度が存在する限り「確実に得られるノーリスクのリターン」として計算できます。
例えば、所得税・住民税の税率が合計20%の人が毎月2.3万円(年間27.6万円)をiDeCoで積み立てた場合、年間で約5.5万円も税金が安くなります。45歳から60歳までの15年間継続すれば、節税額だけで約82.5万円です。相場がどう動こうと、この「税金を取り戻すリターン」は確定しています。これをやらない手はありません。
【sawaの実体験・所感】
株式投資は余剰資金でやりましょう、という掛け声があります。一攫千金のようなギャンブル要素のある投資方法で大切な生活資金を溶かしてしまうことのないように余剰資金で投資をすることは賛成です。
しかしながら日々の生活において「余剰の資金」というものはそう簡単に生み出せない、とも思います。収入から消費分を引いて、自動車車検費用や任意保険費用、固定資産税などの積立分を引いて、いくらか残ったものを積立貯金をすることが精いっぱい。そのような中で上述した「掛け金が全額所得控除される」、要は節税する(本来は税金として消えるお金が手元に残る)ことで出来たお金こそ、「余剰資金」であると考えています。
節税することで得た「余剰資金」は言わば元本ゼロ。この資金を新NISAで運用すると運用益が非課税なので、よりお得になると言えます。
60歳まで引き出せない「資金拘束」は、独立資金を守る最強のロック機能
iDeCoを敬遠する人の多くが、「原則60歳まで資金を引き出せない」というデメリットを挙げます。しかし、45歳の私が「60歳での独立(社労士・行政書士)」を明確な目標としている場合、このデメリットは最強のメリットへと反転します。
人間は弱い生き物です。もし手元に自由に引き出せるお金があれば、車の買い替えや想定外の出費で、将来の独立資金に手をつけてしまうリスクが常に付きまといます。iDeCoの資金拘束は、「60歳の独立・リタイア時期まで、国が強制的に資金をロックして守ってくれる機能」なのです。現預金1,000万円という流動性の高い防衛資金があるからこそ、この強力なロック機能を安心して使い倒すことができます。
45歳からの15年間。期待値と節税額から算出する最適な掛金設定
とはいえ、生活が苦しくなるほどの掛金を設定しては本末転倒です。第1回で算出した「生活防衛ラインを超えた余剰資金」の中から、まずは確実に節税メリットを享受できる金額(例えば企業年金がない会社員なら月額2.3万円など)を上限いっぱいまで設定するのが、最も期待値の高い基本戦略となります。
さらに、iDeCoでガッチリと資金をロックした上で、今度はいつでも引き出せる「NISA」を使って、今の生活のQOLを上げるための柔軟な戦略を組み合わせます。
最強の投資と節税 二刀流税理士のお金の増やし方 [ 永江将典 ]
- 価格: 1760 円
- 楽天で詳細を見る